第13話---なかったことに




麻衣「な、にやってんの？」



あれ、なんかまだドキドキしてる。
おかしいな



達哉「や、寝てた。」
麻衣「あぁ･･･そっか！」


ちょっと期待した。




達哉「じゃー帰るかな。じゃーなぁ」



･･･････････帰っちゃうの？



麻衣「た、達哉っ！」






達哉は立ち止まった。





達哉「ん？なに？」

麻衣「あの･･･････」



なんて言えばいいのかな




麻衣「昨日の･････ほら･･････」



･･････････昨日のあのキスは･････



達哉「あ･･･････････うん。」


･･･････うんって？何？












達哉「ごめん、なかったことにして･･･？」













麻衣「え････？」


達哉「ごめん、俺きっとどーかしてたわ！友達なのにな！
　　　まぁ気にすんな。じゃー俺行くわ。また明日な」




そー言い残すと、達哉はさっさと帰っていった。




待って･･････。行くな、ばか。



「ごめん、なかったことにして･･･？」



何･････それ。


なかったことに？






何？なかったことに、するの？
あのキスを？







麻衣「･･･････意味、わかんないよ。」






なかったことになんか、できるわけないでしょ



あたし、馬鹿みたいじゃん。
ずっとドキドキしてて馬鹿みたい


昨日からずっとあのキスが忘れられなくて
ドキドキしすぎてあんまり眠れなくて
次の日達哉に会うのが楽しみで楽しみで
しょうがなかったのに････。

そんなこと考えてたのはあたしだけで。



達哉は違かったんだね･･･････




何を期待してたのかな、あたし





てか「友達」ってキッパリ言われたよね･･･


ねぇ、あたしフられた？
まだ告白してもないのに･･･････。
なにこの終わり方。もう終わったの？



麻衣「････････だっさ。･･･････････ぅー･･･っ」





あのキスは、なんだったの？
返せ、ばか。ばかばかばか


好きじゃないならしないでよ
友達ならしないでよ


期待するに決まってるじゃんか




ばかっ。






幸せって、なんでこんなに短いのかな





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